こんにちは 世田谷区桜上水を拠点に、ニューボーンフォトとファミリーフォトの出張撮影をしている「Anniversary Photo Yomogi」です。
今回は、Netflixで鑑賞したドキュメンタリー映画「ゲームチェンジャー:スポーツ栄養学の真実」を紹介したいと思います。
ネタバレを含みますので、まだこの映画を見てない方は閲覧注意でございます。
映画の内容をすごくシンプルにまとめると「食事を菜食にすると、体にも地球環境にもとてもいい。人体においては、持久力、回復力において目覚ましい変化があるよ」ということでした。では内容を紹介していきます。
1時間52分の映画を、私の独断と偏見で4つの段落でまとめました。
割愛してる部分も多くありますが、わかりやすくまとまったと思います。
目次
この映画は、格闘家 ジェイムズ・ウィルクスの視点で描かれています。
語り手であるウィルクスが、両膝の靱帯断裂の怪我をきっかけに、回復のために、あらゆる論文を読み漁り、食事を見直すことから始まります。
(監督はルイ・ホシヨス)
識者の話と、語り手であるウィルクスの話が交互に出てきて、ストーリーが展開されます。
まとめの前に・・
そもそも「ゲームチェンジャー」とは
goo辞書では「途中で交代して試合の流れを一気に変えてしまう選手。転じて、世論の動向を大きく変える人物や出来事」と記載があります。
後退する人体や地球環境にとってのゲームチェンジャーになるものという意味合いで、映画では菜食について詳しく掘り下げられています。
1-1 菜食のアスリートや著名人
映画の中では、8名ほどにフォーカスしていますが、ここでは4名を詳しく紹介したいと思います。
「Plant based athletes」で検索してみると・・・まず出てくるのがスコット・ジュレク
①ウルトラマラソンの王者 スコット・ジュレク(Scott Jurek)
160キロ走で新記録を出している
過酷な地形を走るランナーとして名だたるレースを制覇し、名声を築く。
最高気温54度の砂漠を217キロ走るレースで、優勝経験もある。
「ウェスタンステイツ100」と呼ばれる伝統あるレースに備えていた頃から菜食を始めた。(100マイル =161Kmを走る大会)
肉を食べるべきか直前まで迷っていたが、菜食で準備を進めた。結果ダントツで優勝し、7連覇も果たした。
勝利の原動力は、間違いなく菜食だという。
競技レースを制し、次に目指したのが、アパラチア山道の最速踏破記録を更新すること。
距離にして3540キロ、ゴールはメイン州、カターディン山の山頂(Mt. katahdin)。
目標は46日11時間の記録を破ること。
トレーニングは毎日行う。
平均3350mのアップダウンを毎日走る。
アパラチア山道の最速踏破については、スタートして1週間もしない内に足に怪我をし、絶望的であった。普通なら5ケ月から7ケ月かかるところ、毎朝4:30に起き、80キロをこなして踏破した。
記録達成まで、残り12日で残り885キロあった。怪我の遅れを取り戻るため、睡眠時間を2.3時間にして挑み続け、道中、記録的な大雨に襲われたこともあったが、46日と8時間7分で達成し、前記録より3時間も速い踏破を成しとけた。
「人体の可能性は無限だ。前に進み続ければ、深く暗い穴からも必ず抜け出せる。」
(アパラチア山道・・・アメリカ東部にある山脈で、14の州を南北に貫く有名なトレッキングルート)
②自転車競技パシュートの全米チャンピオン8回 ドッチィ・バウシュ(Dostie Bausch )
パン・アメリカンという大会でも2連覇
トラックレースは大変なエネルギーを消費する。
トレーニングは週6のプログラムで
1日4〜5時間、山の登り降りを繰り返す。
加えて、ジムとトラックの練習もある。
肉料理で有名なケンタッキー州の出身で、完全菜食に移行する時期は、耐えらるかどうか不安だった。
でも劇的な結果で、レッグプレスの重りを136キロから265キロにし、60回を5セット繰り返すことができた。
チームメイトがうんざりするほど疲れ知らずになった。
ドッチィ・バウシュは当時35歳で引退を考えていたが、
成績は絶好調で、オリンピック代表に選ばれた。
2012年ロンドンオリンピックでは、準決勝では勝ち目のない試合で、逆転するには大きな差があったが、最終的には0.08秒差で勝ち、バウシュは39歳で表彰台に立つこともできた。
「食事こそが私の最大の武器だ」と力説する。
③怪力のアスリート パトリック・バブーミアン(Patrik Baboumian)
地上最強の男の1人と言われ
数々の世界記録の保持者(樽上げやロッグリフトなど)
世界最強の男の力の源について
彼は、牛乳や卵を含む動物性食品を一切食べない。
バブーミアンが肉食をやめたのは、2005年。その後、
105キロだった体重が、今は130キロに増えた。また同時に世界記録を4つ作った。
肉をやめてからの方が、頑強になった。
格闘家ジェイムス・ウィルクスが、バブーミアンの持ち上げる318キロのくびき(ウェイト)を持ち上げようとしても上がらないし、一歩も動けなず、微動だにしない。
だがバブーミアンはそのくびきを楽々と持ち上げる。
バブーミアンの目標は555キロのウェイト(映画ではくびき呼んでいるもの)を10メートル運ぶこと。
馬一頭を担いで歩くのと同じ。
くびきを背負って一歩踏み出すごとに
もう一方の足に重量がかかり、骨が砕けるような衝撃が走る。
怪力大会の競技の中で、最も恐ろしい種目である
ギネス記録の登録会では、無事、555キロのくびきを10メートル運び、記録を更新した。
「強さは大きさは問題ではない。自分の持つ力をどう使うかだ。そのパワーで何をするかが重要だ。」
動画の中では、怪力アスリートを目指すきっかけなども話している。
くびき・・・大型の家畜を固定する道具であるが、アメリカでは、鉄棒のような形の金属におもりを追加する、重量のあるウェイトのことを”くびき”と呼んでいる。
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そのほかの菜食のアスリート
1908年 金メダリスト E.ボイト(陸上8キロ走)
1920年代 金メダル9個 P・ヌルミ(陸上)
1956年〜1960年 金メダル4個 M・ローズ(競泳)
1976年〜1984年 金メダル2個 エドウェン・モーゼス(陸上 走り高跳び)
1984年〜1996年 金メダル9個 カール・ルイス (陸上)
カール・ルイスについては30歳で菜食に切り替えて、自己ベストを出したという。
当時、オリンピック史上最年長の優勝者と言われた。
・格闘家 ジェイムス ウィルクス自身も菜食である。
菜食を初めて6週間後、ジムで体の変化を見るため、手始めにバトルロープ(両手で太縄を動かす運動)をしたところ
以前は8分程度しかできなかったが、疲れが見えず60分間以上を継続できた。
食生活を変えただけで。
・他には、400M走のモーガン・ミッチェル、重量上げのケンドリック・ファレス、ヘビー級ボクシングの B・ジェニングス、アメフトのデレック・モーガン、F1レーサーのルイス・ハミルトン、テニスの世界女王ウィリアムズ姉妹、サッカーのアルゼンチン代表 リオネル・メッシなど多数のアスリートがいる。
・アーノルド・シュワルツネッガー
昔は肉を大量に摂取していた。卵は1日に10〜15個は食べていた。
タンパク質の摂取量は1日250g。体重が113キロ。
シュワルツネッガー自身が、本を読んで調べたところ、タンパク質は「別に動物からとる必要なない」ということがわかり、菜食に切り替えていった。
料理の味もこだわっていくと、菜食の方が好きになった。
コレステロール値は109まで下がった。こんなに下がったのは初めて
このインタビュー当時69歳であった。
突然「肉をやめろ」と言ったら、皆は「何を食べようと勝手だろ」となる。
だが説明をすれば変わる。「週に1度でいい。肉から離れよう」と言いたい。
1-2 菜食で十分なエネルギがー取れるのか
スポーツチームのドクター ジェイムズ・ルーミス(James Loomis)
選手の栄養に関する知識は、時代遅れだった。
フットボール選手の夕飯を見れば一目瞭然。ステーキやチキンなどタンパク質に偏った食事だ。それらがエネルギー源だと信じていた。
実際は、運動のエネルギー源は、糖質であり、筋肉にも貯蔵される。
糖質を制限して、タンパク質に偏る食事をすると、結果として体内は、慢性的な糖質不足に陥る。慢性疲労やスタミナ不足の原因だ。
菜食で十分なタンパク質が摂取できるか
スポーツ栄養学において、最大の誤りは動物性タンパク質への過信だ。
牛肉含まれるタンパク質は、牛が食べる植物に由来する。
すべてのタンパク質が、植物由来。
牛、豚、ニワトリも単なる中継ぎ。タンパク質の摂取量を比較した研究では、菜食主義者は、必要量を7割超える量を摂取している。
肉食であっても、タンパク質の摂取量の半分は、植物由来。
語り手の補足
アスリートにとっては、タンパク質は生命線。
ウィルクスの摂取カロリーを元に計算すると、
菜食に変えても摂取量は十分あった。
1カップの平豆やピーナッツバターサンドは、85グラムの牛肉か卵3個に該当する。
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植物性タンパクの質は劣るのか?
スポーツチームのドクター ジェイムズ・ルーミスによると
タンパク質はアミノ酸が結合したもの。体内では合成されない必須アミノ酸である。
多くの人は、動物性の方が完全であり、植物性の方が不完全だと思っている。
だがこれも誤り。
植物にも、全ての必須アミノ酸が含まれていることがわかっている。
筋力に関し「アミノ酸の消費量が適量であれば、動物性か植物性かは関係ない」という研究もある。
1-3 食事内容による具体的な影響について
NFL 循環器系疾患 小委員会 心臓血管の専門医
ロバート・ホーゲル(Robert Vogel)
彼の実験によると、選手が競技の直前に食べる食事は、パフォーマンスに大きく影響する。
食事と血管内皮機能には、相関関係がある。
内皮は薄い血管の層で、血流を調節している。
筋肉や臓器の必要な血流量に応じて、拡張する。
しかし、細胞が弱まると、血管が拡張できず、十分な血液が流れなくなる。
したがって、パフォーマンスが落ちる。
映画内の実験では、フットボール選手3名に、動物性食品と植物性食品の摂取後の血液で違いを調べている。
動物性タンパク質と脂肪の影響は大きく、食後6〜7時間は血液に影響を及ぼす。
1日3食ともに動物性タンパク質と脂肪を含む食事では、1日中血液が濁り、運動能力も十分に発揮できない。
このホーゲル医師の実験は、多くの研究が実験結果を裏付けている。
・ハンバーガー1個で内皮機能27%低下する。
・トレーニング前の1杯のビートジュースで、被験者の運動が22%向上した。
との報告もある。
回復力について
米国ボブスレー連盟医師
スコット・ストール(Scott Stoll)
プロ選手は、タンパク質に関心が強い。問うべきはその由来。
植物由来か、動物由来か。
どちらが、炎症や怪我の治癒を早めるか。
動物性タンパク質は、複数の炎症分子を含んでいるので、炎症を引き起こす可能性がある。
動物性食品の摂取は、消化中に腸内フローラを変質させる。
その結果、炎症を促進する細菌種がはびこり、炎症ミディエータ、TMAOを生産する。ハンバーガー1つで血流を損ねると同時に、炎症の可能性を70%高めるという報告がある。
炎症は動脈の血流を悪化させ、筋肉や関節の痛みを増加させる。
植物性食品は、タンパク源であり、ミネラル、ビタミンも豊富で抗酸化作用もある。
炎症を抑え、腸内環境を整える。また血液供給、身体能力も高めてくれる。
野菜や果物の植物性食品は、抗酸化物質の宝庫、
その含有量は平均値で、動物性食品の64倍。
レタスですら、サケや卵より、含有量は豊か。
菜食に、切り替えるだけで、3週間で炎症の数値が29%も減少する。
菜食は腱や筋肉の血管を太くする。
傷ついた組織を修復し、新しい組織を生成する。免疫力を高め、感染症を撃退する。
あらゆるレベルで、正しい食事は、自然治癒力を高めてくれる。
2 菜食と肉食の歴史について
◉肉食が浸透した経緯
肉食神話は、19世紀の科学者の説に由来する。
J.V リービッヒ(Justus Von Liebig)の説
「筋肉エネルギーの源は動物性タンパク質であり、菜食主義者は持久力がない」というリービッヒの説は広く支持され、農務省のお墨付きも得た。
しかし科学的には間違いで、筋肉を動かすのは、植物由来の糖質の方であった。
リービッヒの説に疑問を持つ人もいたが、リービッヒの考えはすでに浸透していた。
◉歴史から知る人間に適した食事とは
考古学の論文・ローマの剣闘士(グラデュエーター)について
法医学博士 ファビアン・カンズ(Fabian Kanz)
トルコのエフェソス(EPHESUS, TURKEY)の墓地で、多くの剣闘士が埋葬されているが
少なくとも68体の遺骨が考古学者により復元された。
5000本以上の人骨の分析が進み、
骨ミネラルの密度が著しく高いことがわかった。
それは激しい訓練と、良質な食事によって
強い筋肉と骨が作られた証である。
剣闘士は「ホーディアリ」というニックネームで呼ばれていた。
意味は「大麦を食べる人」
このニックネームからも肉食ではなかったことが推測される。
遺骨のストロンチウムの値で食事の内容を分析する
高いレベルだと菜食、低いレベルだと肉食だとわかる。
その結果、剣闘士の多くは、菜食だったことがわかっている。
剣闘士・・・市民への見世物として互いに戦闘することを強制された奴隷。猛獣と戦わされたりした。奴隷ではあるが特別扱いをされており、最高の医療を受けられたという。
◉人間の祖先は肉食では?という問いについて
ハーバード大学 自然人類学者 リチャード・ランガム( Richard Wrangham )
人類の祖先は、肉食だったと結論しがちだが、
考古学での評価と違い、草食の方が重要でした。
菜食は場所を選ばずに当てにすることができる。
ダートマス大学人類学教授 ナサエル・ドミニー(Nathaniel Dominy)
肉食説は20世紀前半に盛んに言われていた。
様々な古代人遺跡が発見され、発掘された、動物の骨と道具から
肉を処理していたと考えた。
早くから肉食説があったが、それは事実ではない。
霊長類の犬歯は肉食の為ではない。
ゴリラの雄は、その立派な犬歯で、他のオスを威嚇するだけ。
肉食動物の歯は、肉を細かく裂くため、ハサミのような形で尖っている。
しかし、人間の歯は、あまり尖っておらず、四角で植物繊維向きである。
自分たちの歯が、”肉食には向いていない”という良い証拠である。
マックスプランク研究所 考古遺伝学者
クリスティーナ・ワーリナー(Christina Warinner)
遺跡から発掘された道具と動物の骨にばかり注目し、その考古学の偏見が、事実を曲げたのだ。骨や道具、植物のそれぞれの腐敗する時間が違うことが問題である。
骨や道具の保存状態に比べ、植物はすぐに腐敗する。
なので、祖先の食事は肉食であるという誤認が広まった。
新たにわかったことは、遺跡から骨や道具と共に、微細な植物の化石が保存されているということ。
旧石器時代の遺跡を訪ねると、様々な植物に出逢う。
遺伝子的にも、身体構造的にも、人間は、肉食に適していない。
植物の消化吸収に適応している。
肉食動物に比べ、消化官が長いので、植物を消化できる。
(人間は体長の15倍、肉食動物は体長の4倍の消化器官である)
人間はビタミンCを自分で生成できない。ビタミンCは、植物に含まれているが、それが人間が植物を必要とする所以である。
人間は三色視で色を見ることができるが、肉食動物は二色視である。
新鮮な果物を見つけるには、三色視で色が見えるのは大切。
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語り手の補足
テクノロジーの進歩のおかげで、
古代人の道具や骨、歯の分析が進んだ。
なんと祖先は、草食に近かったのだ。
サイエンスアメリカンという専門誌でも「人類の祖先はほぼ菜食主義」(Human Ancestors were Neary All Vgetarians)という論文が発表されている。
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ロンドン大学 遺伝学者 マーク・トーマス(Mark Thomas)
我々の脳は、ブドウ糖を必死で求める。
唯一のエネルギー源だから。
肉はいい供給源ではない。別のものを食べないとダメ。
効率よく摂取するには、糖質が一番。
原始時代の環境に放り出されたとして、尖った槍なんかは大して役に立たない。
一番必要なのは、食べるための植物の知識だ。
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語り手の補足
全てが繋がった。動物性食品が問題なのは、体に合ってないから。
人間にとっては間違った燃料なのだ。
唯一気になるのは、B12の補給。
動物性食品にしか含まれていないという。
実は、B12は、動物が生成するのではなく、土や水の中にいるバクテリアが作っている。
ここでも動物は成分を仲介するだけ。
放し飼いの動物も人間も、野菜についた微量の土や川の水からB12を摂取していた。
しかし、今は殺虫剤や抗生物質がバクテリアを殺してしまい、家畜にもB12のサプリが必要となっている。
39%の人が、B12不足であり、肉食か菜食かは関係ない。
B12の摂取はサプリが推奨されている。
3 菜食と肉食の人体への影響について
予防医学研究所
ディーン・オーニッシュ(Dean Ornish)
生物学的な仕組みが、一方で能力に、一方で健康に影響する。
慢性炎症もその一つ。
ある実験で、食事を菜食にしたグループは、1ヶ月で心臓の機能が正常になり、血流も改善した。1年後には、冠動脈の詰まりが減少して、5年後にはさらに改善した。
しかし、赤身の肉を減らし、魚とチキンを増やしたグループは、1年後に詰まりが増加し、5年後はさらに悪化した。
食事は健康と生活に大きく影響する。
動物性の高タンパクな食事をする人は早死する確率が75%高く、
ガンや糖尿病での死亡率は4倍〜5倍高くなる。
(予防のための)異なる指針があるわけではないし、
心臓病用、糖尿病用、前立腺ガン用とかではない。
やり方は一つだ。(動物性食品を摂取しないこと)
健康で野菜中心の自然食で、遺伝子の発現が変わり、悪いものは消える。
遺伝子が全てではない。もし自分の家族全員が同じ病で死んでも、運命は変えられる。
米国心臓病学会
会長キム・ウィリアムズ(Kim Williams)
動物性食品を食べると、冠状動脈にプラークを形成する。
この動脈プラークは、動脈の機能を制限するだけでなく、血流を塞いでしまう。
体を維持するため、当然、心臓に負担がかかる。
動物性食品をやめればいい。科学的な根拠はある。
血友病専門医
ヘレン・ムーン(Helen Moon)
ヘム鉄は動物由来で、赤身肉や鶏肉、魚にも含まれている。
食事に関する優秀な研究を統合すると、ヘム鉄の摂取を心臓病の関連性が明らかになった。
13万人以上の患者を調査した結果、毎日1㎎のヘム鉄摂取で、冠動脈心疾患のリスクが、27%高まると報告した。
比較すると、ハンバーガーに2〜3mgのヘム鉄が含まれる。
心臓専門医
コロンブス・バチスト(Columbus Batiste)
赤身の肉だけが心臓病の原因ではない。もっと複雑で
赤身や脂肪だけでなく「飽和脂肪の危険性」がある。
50年近く、飽和脂肪とコレステロールが原因であり、赤身の肉や卵の白身が解決策とされてきた。
研究によると、動物性食品の炎症分子は、回復を損ねるだけでなく、心臓病を引き起こす働きもする。
問題は鉄だけない。
動物性タンパク質も問題である。
牛肉や鶏肉、牛乳など、個別の食品の問題でなく、摂取自体が問題である。
摂取した時点で、体内で科学変化が起きる。
動物性タンパク質は、加熱または保存されたり、腸内で消化されると、炎症化合物が生成される。
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なぜ、菜食主義者は、心臓病のリスクが55%も低いのかわかるし
なぜ菜食が、心臓病の回復につながるのかも理解できる。
ハーバード大学 栄養学教授
ウォルター・ウィレット(Walter Willett)
動物性由来のアミノ酸は、細胞を活性化し、増殖させる傾向がある。
例えば、乳製品由来のタンパク質を過剰に摂取すると
前立腺ガンのリスクが40%高まる。
ガンとの関連性は明らかだ。
[A prospective study on intake of animal products and risk of prostate cancer]という論文がある。
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語り手の補足
動物性食品とガンの関連性は、米国国立がん研究所も報告している。
菜食家が週に1度、白身肉(鶏や魚)を食べると、結腸癌のリスクは、3倍以上になる。
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肉食の健康神話がここまで浸透した理由
食品業界の市場戦略が影響している。
シュワルツネッガーの話
彼自身も食品業界の市場戦略にどっぷり浸かっていたのでわかる。
「ステーキは男の食べ物」「男らしく食べろ」
「ガッツリ食べて男になれ」など、肉のCMばかりで、有名人まで出演していた。
業界にとっては大きな市場
“男と肉”という概念を植え付ける。
だが、それはただの市場戦略。事実ではない。
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米国泌尿器科学会
代表アーロン・スピッツ(Aaron Spitz)
”男らしさ”といえば、強さとか持久力、精力絶倫など。
科学的に実証されたのは、
肉を食べれば、食べるほど、”男らしさ”を失うという事。
動画内では、アーロン医師が行なった生殖機能についての実験が解説されている。
ここでは割愛しますが、肉食と菜食では、一度の食事でも、生殖機能に大きな変化が確認できる。映画内の実験については、科学的には実証されていていないが、非常に面白い結果として注目されている。
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菜食プロボディビルダー ニーマイ・デルガド(Nimai Delgad)
彼は、肉を食べたことがないが、血液検査の結果も良好
筋肉も問題なしで、体を見れば一目瞭然
ボディビルダーの食事は、低糖質が常識。試合前の2週間糖質を摂取しなかったものは、ゾンビみたいになる。デルガドは欲しいだけ食べていたら「食べているのに引き締まっている」と驚かれた。
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語り手の補足
肉食と菜食の研究は、数値に違いはないと報告している。
デルガドがインスタに大豆食品の写真をあげると、エストロゲンが話題になる
「大豆はエストロゲンを増やす」などのコメントが2.3割を占めるが、彼はエストロゲンについては心配していない。
大豆に含まれているのは、植物エストロゲンで、
乳製品の含まれるエストロゲンとは、反対の動きをする。
乳製品由来のエストロゲンの過剰な生成を防いでいる。
エストロゲンは、鶏肉、卵、乳製品などに、多く含まれおり
ホルモンレベルに大きく影響する。
コップ1杯のミルクで、エストロゲンレベルが、1時間で26%増加
テストステロンレベルは、18%減少する。
コルチゾールも食材と深い関わりがある。
コルチソールは、筋肉量を減少させ、体内脂肪を増加させる。
食事を動物性から炭水化物中心に変えると、
コルチゾールレベルが27%減少する。
用語解説
エストロゲン・・ステロイドホルモンの一種。女性ホルモンとも呼ばれ、血管や骨など健康な状態に保つ。過剰に分泌されると、疾患にもつながる。
テストステロン・・・ステロイドホルモンの一種。男性ホルモンと呼ばれ、筋肉や骨量の増加、体毛の成長などを促進。
コルチゾール・・・副腎皮質から分泌されるホルモン。心身ともに負荷がかかると多量に分泌されることからストレスホルモンと言われる。過剰に分泌されることで、顔が丸くなったり、血圧や血糖値が高くなることがある。必要以上に分泌されると良くない。
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菜食プロボディビルダー
ミーシャ・ヤニエツ(Mischa Janiec)
「糖質を摂りすぎるから、ヴィーガンに引き締まった体は無理」と言われてきた。
でも、ミーシャの体は、ボディビルダーとして最高の状態。
ボディビルダーの食事は低糖質が常識
試合前の2週間、糖質を摂取しなかった選手は、ゾンビみたいになる。
ヤニエツは、欲しいだけ食べていたら、「食べているのに引き締まっている」と驚かれた。
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確かに精製された糖質は、体重を増やす。(砂糖や小麦粉など)
意外なのは、バナナやさつまいものような自然な糖質が、体脂肪の減少と関係しているということ。
筋力トレーニングに関する実験結果で、糖質を適量摂取したグループは筋肉がつき、低糖質のグループは、筋肉が減少した。
4 なぜ皆が無知なのか
タバコが浸透した時と状況は同じと言える。
タバコが世に出始めたころ、当時の若者にとって喫煙は当たり前だった。
体にいいことだと教えられており、健康のシンボルとして、宣伝にスポーツ選手が起用されていた。
しかし、ベーブルースが50代前半で咽頭ガンで亡くなると、
科学的な証拠が出始めた。
タバコ業界にとって新しい市場戦略が必要になった。「医者もタバコを愛用している」など
の広告を打つこともあった。
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クック郡公共衛生部門
最高責任者 テリー・メイソン(Terry Mason)
「喫煙はがんの原因ではない」と業界は否定してきた。
そして自分たちで研究者を雇い「タバコの純度は水と同じ」などの論文を出させ、問題をすり替えた。
しかし、ついに、
スポーツ番組でのタバコのCMは禁止。
タバコ業界に代わる新しい業界、その登場で食品業界が台頭した。
市場戦略はタバコと同じで、食品業界の広告(特にファーストフード)には様々なスポーツ選手が起用された。
クレートン・カーショウ(Clayton kershaw)、クリスティアーノ・ロナウド(Cristiano Ronaldo)など。
動物性食品もすぐに槍玉に上がったが、食品業界も、タバコ業界と同じ戦略で、研究者を雇い「加工肉にはがん発生のリスクがない」などの否定させた。
動物性食品の健康リスクについては、双方の主張があるので、あたかも懐疑的な説があるかのうように見えるが、動物性食品の害を指摘する科学的根拠はあった。
食品業界は表立った反応をせず、その学説を否定する研究を秘密裏に援助していた。
雇われた研究所の一つは、喫煙とガンの関係を否定するために、タバコ業界が雇った会社と同じであった。50年以上この会社が行なってきた研究は、健康リスクに関わる学説に意義を唱えることであった。
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エール予防研究センター
デイビット・カッツ博士(David Katz)
学説に意義を唱えるやり方は実にうまく機能している。
食品業界や医薬品業界にとっては。
メディアも同じ。おかげで話題に不足しない。
「卵は大丈夫?」「ベーコンは安全か」「バターは食べるのは悪いのか」など
一見すると、情報が錯綜しているように見えるが、食事の議論は世界的には合意が取れている。
健康にいい食事は決まっていて、脂肪や糖質をどう問題にしようと、
あらゆる研究が結論を出している。それは植物中心の食事である。
______
ジンバブエの密猟対策団体
代表ダミアン・マンダー(Damian Mander)
ダミアン・マンダーは、米国の元特殊部隊の狙撃兵で
密猟対策団体の創設者でもある。
ジンバブエで、住民と動物保護に人生を捧げると決めた。
ある時気づいた。
毎日パトロールをして、動物を保護して、夜に帰宅し、食事のために違う動物を火にくべる。
その自分の行動が、矛盾してた。
自分に都合よく、理屈をこじつけていた。
肉を食わないと、しなびたヴィーガンになると勘違いして。
牛は何頭もいて絶滅しないと正当化した。
でも考えるたびに、認めざるを得なかった。
動物を守る一番簡単な方法は食わないこと。
タンパク質には肉が必要なんて嘘っぱちだ。
ゴリラは2秒で敵を倒せる。彼らの食糧はなんだと思う?
マンダーは、象やサイと同じような食生活で生きると決めた。
つまり、菜食主義。
レンジャーのパトロール範囲は、2万平方キロ以上
しかし、本当の脅威は、食肉産業と彼らが奪っていく自然だ。
今ある保護区域もどんどん縮小している。
少しずつ確実に消えていく。
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食肉産業(畜産)が消費する環境資源
王立国際問題研究所
所長 ロブ・ベイリー(Rob Bailey)
reserch director, energy ,environment, and resources chatham house
世界の農地の4分の3は、家畜の生産に使われ、
生物多様性には莫大な費用がかかる。
野生動物の生息地を破壊する、唯一最大の原因とは・・
家畜部門である。
肉、乳製品、卵、養魚は世界の農地の83%を使用している。
しかし得られるカロリーは18%
家畜に農地が必要な理由とは?
家畜は単なる仲介者。
生産するタンパク質の6倍の量の飼料を消費する。
毎年、700億以上の家畜が消費され、飼料に広大な農地が使われます。
これは、森林破壊の主な要因の1つ。大量の水も消費される。
世界の人為的排出量の15%は、畜産部門に責任がある。
つまり、対局的な視点から言えば、飛行機、列車、自動車、船、などの
世界の全輸送形態の排出量を合算したくらいだ。
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ストックホルムレジリエンスセンター
センター長 J・ロックストローム(Johan Rockstrom )
実は淡水を過度に使用しているのは家畜だ。
世界の川の25%は、海まで流れていない。
飼料を育てるために使うからだ。
農業は人類の未来を脅かす元凶なだけではない。
(皆が食事を変えるのであれば)解決への最も重要な特効薬でもある。
______
ロンドン大学シティ校 食糧政策
ティム・ラング教授(Tim Lang)
牛に与えられる穀物に水が供給される。そして牛は牛肉に加工される。
ハンバーガー1個に使用される水は2400リットル
野菜を多く、肉と乳製品を少なく摂るだけでいい。
公衆衛生上にも、環境的にも効果は絶大だ。
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語り手の補足
動物性食品に使う水は人類の消費量の4分の1以上。
水の問題は枯渇のみならず、水質汚染もある。
米国では、年に家畜は全人口の廃棄物の50倍を排出している。
全米の川、湖、地下水を汚染している。
肉の消費量が世界平均の3倍の米国では、動物主体の食事を転換するだけで、農業によるガスの排出量を最大73%削減できる。
また、1人あたり年に水を100万リットル節約可能となる。
その結果、アフリカ大陸と同じ面積の土地が潤い、絶滅寸前の生態系や、生物の負担を減らせる。という試算もある。
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感想
例えのモノサシが、全てハンバーガーでしたね。アメリカあるあるなんでしょうか?
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ハンバーガー1個で内皮機能27%低下
ハンバーガー1つで血流を損ねる
ハンバーガー1個に2〜3mgのヘム鉄が含まれる
ハンバーガー1個に使用される水は2400リットル
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など。
日本で言うと、おにぎりがそれに代わるのかな、と推察しました。
でも、おにぎりは具材がコロコロ変わるのでモノサシには向いていないですね ('~`;)
実は、この映画を3年前に見たのですが、その時「肉や魚、卵、乳製品などは買わなくていいんだ、買い物が楽になるな!」と思っていたのですが、すっかり忘れて、最近では「栄養バランスのために」と、肉や魚を普通に食べていました。自分の記憶力に愕然としました!
久しぶりにこの映画をみて「菜食でやっていくなら買い物楽だな」と思って、同じことを3年前に思っていたと思い出して、ゆるい菜食をスタートしたのでした。
今、日本の広告においても、ファストフードのCMには、俳優が起用され、アスリートは出ていないので、アメリカと状況は同じになりつつあるのでしょうか。大谷選手も食品関係のCMはアクエリアスやプロテインなど、ドリンク系だけですね。
「タバコの健康被害と動物性食品を一緒にすな。」という声も聞こえてきそうだなと思いますが、自分自身でゆるい菜食始めてみて、変化があれば、また成果をご報告できたらと思います!
私独自の調べ学習によりますと[完全な菜食(ヴィーガン)になると、不足する栄養素が5.6個ある]とわかりました。サプリで補給しても大丈夫ですが、DHAやEPAは、青魚の含有量が飛び抜けているので、魚は食べた方がいい。ということになりました。
なので、魚は食べるタイプの菜食(ペスカタリアン)でしばらくやってみよう思います。
栄養学は調べれば調べるほど諸説あって "何を信じるかはあなた次第"という状況ではありますが、まずは自分の人体で何か実感できるか試してみたいと思います!
参考文献
映画「ゲームチェンジャー:スポーツ栄養学の真実」
監督 ルイ・シホヨス Louis Psihoyos
WEBサイト
Goo辞書
オリコンニュース 大谷翔平CM 出演情報
Dr.ナグモの栄養外来チャンネル
など
今後も楽しく読めるお役立ち情報などを発信していてきます。
撮影を検討中の方は、下記をクリックしてお問い合わせフォームからお願い致します。
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