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老若男女におすすめの映画3選(原発問題について考える☺︎)

  • fuku
  • 5月19日
  • 読了時間: 11分

更新日:6月17日

[2025年5月19日]

こんにちは 世田谷区を拠点に、ニューボーンフォトとファミリーフォトの出張撮影をしています「Anniversary Photo Yomogi」 フォトグラファーの福山です。


今回は、原発問題についておすすめしたい映画を3つご紹介します。


映画鑑賞がご趣味の方、「原発問題の詳細を知りたい」という方におすすめの内容となっております。最後の方に、原発問題についてお子様におすすめの絵本(小学校高学年向け)も紹介しています。老若男女といっても、就学前のお子様向けではありません^_^


老若男女
老若男女におすすめの映画について

おすすめの映画は下記の3つです。


①の後半は一部ネタバレも含みますので、まだ見ていない方は「一部抜粋」と記載の部分は飛ばしてご覧ください。それでは紹介していきます。


① THE DAYS

2011年の3.11の福島第一原発事故の実話をもとにした映画で、全8話あり Netflixで鑑賞できます。(2023年 公開)

実話をもとにしていますが、フィクションの部分もありドラマ仕立ての映画です。


THE DAYS

映画、原作ともに、事実を記載しており、原発問題について、賛成か反対かという是非論には踏み込まず、あの時何が起きて、現場がどう動いていたのか、その事実が鮮明に表現されています。


是非論には踏み込んでいない映画でありますが、見終わると「原発の稼働、もうええでしょ」の気持ちが強くなる映画だと思います。原発ができる前から、ずっと脱原発を訴えている人からしたら「遅い!」と喝を入れられると思います。


おすすめの鑑賞方法

おすすめの鑑賞方法は【映画→原作→映画】の順で見て頂くことです。


まず映画を見て、その後、原作の「死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発」を読んで頂くというのがおすすめです。


「映画を見る時間がない、本を読む時間がない」という方は、原作の最後の方にある「エピローグ」と「終わりに」だけでも読んで頂くことおすすめ致します。


原作について

映画の後に原作を読むことで、どの辺が事実で、どの辺がデフォルメかなど確認できます。実在する人物はこんな名前なんだ、とか些細なことを知れるのが面白いです。


映画では「サプレッションチェンバー」や「ベント」「SR弁」「ドライウェルベント」など、専門用語がたくさん出てきますので、映画を見ながら、原作を読んでもいいと思います。

原作には、1号機の図解と、当時の福島第一原発の全体図が載っており、映画の内容やトラブルの全体像を把握でき、より深く理解できます。


原子炉建屋と免震重要棟、中央制御室などの位置関係も把握できます。映画だけでは、それぞれの建物がどれくらいの距離感なのかあまりわからなかったですが

原作の全体図を見て、原子炉建屋と中央制御室は、目と鼻の距離で本当に近くて驚きました。


映画の見どころ

3.11当時の総理大臣 菅直人や経済産業大臣の海江田万里の役を演じていた俳優さんたちが雰囲気がとても似ていて面影もありました。そこも見どころです。


そもそも原子力発電が国策として進められた経緯・・

映画より一部抜粋

1950年代、第二次世界大戦の敗北を乗り越え、空前の高度経済成長の中で大量のエネルギーを必要としていた。核燃料であるウラン235は、1グラムが生み出すエネルギーは石炭3トンに匹敵する。実に300万倍のエネルギーの塊だ。

右肩上がりの成長が永遠に続くと信じた日本国民は、この「未来のエネルギー」に希望の光を見た。

40年後、私たちはその発電所を解体する日々を送っている。建設当時、誰が思い描くことができただろうか。「未来のエネルギー」を生む、希望の発電所をこんなふうに壊す日が来るとは。そして、それにかかる年月は30年とも40年とも言われている。


[2017年] 今もまだ、手付かずの核燃料が原子炉の中に残されている。冷却機能を失った際、高熱を発する核燃料は、自らを溶かすと同時に、原子炉そのもを溶かし、混ざり、炉の下部に堆積した。「燃料デブリ」と名付けられたその放射性物質の総量は数百トン。人はもちろん近づけない。そればかりか、凄まじい放射線は、ロボットで中を覗き見ることさえ許さない。推定される放射線量は毎時70シーベルト。(70ミリシーベルトではない。)

ある研究によれば、広島の原爆では、爆心地から1.5キロ地点の放射線量が1シーベルトと言われている。2号機の格納容器内に1時間とどまれば、その70倍の放射線を浴びる計算だ。

[2019年] 最近、ようやくデブリを動かせそうだということがわかった。だがまだそれだけだ。取り出す方法も保管方法もわからない。最終処分方法が決まるのは遠い先だろう。

廃炉作業はいつ終わりを迎えるかわからない。


かつて私たちが「明るい未来」と呼んだ巨大建造物は、これから何十年にも渡り向き合っていかねばならない「負の遺産」となった。


原作より一部抜粋

原子力発電所の設計を担ったのは、アメリカのジェネラル・エレクトリック社(GE社)である。福島第一原発では、1号機をGE社が作り、それを東芝と日立に技術移転し、2号機は、GE社と東芝の合作、3号機は東芝、4号機は日立が建造したという経緯がある。


想定された被害

チェルノブイリの十倍の規模の被害も想定され、東北の半分と関東一円の地域が、帰宅困難区域になる可能性もありました。

2号機、4号機がたまたま爆発しなかったので、その被害は免れたましたが、なぜ爆発しなかったのかは原因不明とされている。(←映画はドラマ仕立てなので、そのように説明しているのだと思います。②の映画では、爆発しなかった原因について解説がありました。)



② 原発をとめた裁判長 そして原発を止める農家たち

監督・脚本 小原浩靖


原発の過去現在未来、全国の原発の稼働の是非を巡る裁判について、自然エネルギー(太陽光)の可能性について言及したドキュメンタリー映画です。


原発を止めた裁判長

2022年に公開された映画で、劇場での公開は終了しているので、地域の上映会などで見る機会があればぜひ見てください。私は、都内の生活クラブの上映会で鑑賞しました。


映画の公式サイトから上映会の申請は、どなたでも行えるようです。

また、公式サイトからDVDを購入して鑑賞することもできます。


映画では、グラフや図解など、一時停止をして見たい箇所がたくさんあったので、私は上映会で見た後、さらにDVDを購入して鑑賞しました。


映画では、福井地方裁判所の元裁判長、樋口英明氏の判決や、退官後の活動(原発の危険性を広める活動)を詳しく紹介しています。


原発問題って何、原子炉って何、耐震って何、という素朴な疑問にもわかりやすい紹介がありますので、「よくわからない問題なので放置してきた」という方にとてもおすすめの映画です。


地震を表す単位は主に3つ(一部抜粋)

マグニチュード・・震源が発するエネルギーの大きさの単位。1上がるごとに32倍ずつエネルギーが強くなる。例えば、M6に対してM8は、およそ1000倍の地震エネルギーとなる。

震度・・・地震の観測地点が、どのくらい揺れたのかを表す単位。震源から遠いほど、震度は小さくなる。10段階に階級分けされていて、どれだけ強い揺れでも、震度7以上の値は示されない。マグニチュードの値が小さくても、震源から距離が近ければ、震度は大きくなる。

ガル・・・観測地点のでの振動の激しさ。原発の耐震設計では基準地震動650ガルというふうに示される。


上記のような基本的な話から、3.11の原発事故、青森 六ヶ所村の原始燃料サイクル施設、福井の高速増殖炉もんじゅ、全国の原発稼働差し止めの裁判、自然エネルギーを活用する農家の活動などにフォーカスしています。


3.11の原発事故については「THE DAYS」と別の角度の説明もあり、とてもわかりやすいです。


福島第一原発の2号機、4号機がなぜ爆発せずに済んだのかについての詳しい解説もあります。たまたまの要素が重なり、当時の原子力委員会が想定した最悪シナリオを踏襲せずに済んだことがわかります。


最悪シナリオ・・・「福島第一原子力発電所の不足事態シナリオの素描」で検索して頂くと色々な資料が出てくると思います。当時の原子力委員会 委員長が政府に向けて作成したシナリオを通称、最悪シナリオとよんでいる。


上映会後は、樋口英明氏のトークセッションがあり、そこでも興味深いお話を聞けました。

トークセッションの備忘録

・原発は自国へ向けた核兵器である、と言えること。(ウクライナの戦争でもロシアは真っ先にサポリージャ原発を標的にした)日本では海岸線にずらっと50基以上のも原子炉(廃炉も含む)を配置しており、戦争になったら真っ先に狙われるのではないか。ということ。


(補足・・・原子炉の廃炉は、完全に廃炉にするまで2.30年かかることが多く、現時点で廃炉の原子炉も、廃炉に向けた作業をしているところが多い。原子炉の個数は、廃炉や審査中など含むと正確には60基ある。2025年現在、稼働しているのは12基。)


・原発の稼働を止める判決を出した裁判長は全国に7名いる。逆に、稼働を認めた裁判長は30名以上いるのだとか。原発の稼働停止の判決を出すと、裁判長自身の出世に影響があるので、稼働停止の判決が少ないと考えられるとのこと。(この時代に、あからさまな左遷はないが、出世の階段を登って、最高裁まで行くことは難しくなるのだという)

しかし、原子炉が一度でも暴走すると、半永久的にその場所に住めなくなるので、出世や栄転、時間をかけて解決した社会問題(教育格差や所得格差など)も、原発事故が起これば、すべての努力は水疱に帰すことになる、という点に立ち返って判断すべきである。


・なぜ福島第一原発の非常用電源を地下に設置していたのか・・アメリカの技術をコピペした作った原発だから。(アメリカはトルネードがあるので、地下に非常用電源を設置しているが、日本は津波があるので、地下に設置する意味がない。)


③ 風が吹くとくき

英題は「When the Wind Blows」

1986年公開のイギリスのアニメ映画。日本でも1987年に公開されました。

2008年デジタルリマスター版が公開、2024年には吹替版がリバイバル公開されました。


こちらも現在は劇場公開されていないですが、アマゾンプライムやWOWOWで鑑賞できます。絵本やパンフレットはメルカリでも販売されていました。


原作は、イラストレーターのレイモンド・ブリッグスによる絵本です。(1982年)

こちらの絵本はお子様におすすめです。絵本にも「NATO」や「ルーズベルト」などの政治や歴史関連の難しい言葉がたくさん出てきますので、小学校高学年以上の年齢でご覧頂くといいと思います。


風が吹くとき

この映画は、原発問題ではなく、高齢夫婦の穏やかな暮らしを通して、核戦争の恐怖(原子爆弾投下前後の夫婦の様子)が描かれています。


原子力という点では同じなので、紹介させて頂きました。もしも、住んでいる地域の原発が暴走して帰還困難区域なり、そこでタイベックを着ずに暮らし続けるとこういう風になるのかな、と勝手に想像しました。


私は、この映画は幼少期7.8歳くらいの時に一度鑑賞して、ただただ恐怖を感じた記憶があります。一緒に見ていた友達が「怖いからこれ以上見たくない」と言って最後まで見なかったことは覚えております。


最近、鑑賞し直して、いろいろ忘れていたシーンもたくさんあり、結末をようやく知りました。見ておいてよかったと思います。


監督のジェームズ・テルアキ・ムラカミは日系アメリカ人2世で、親戚を長崎の原爆で亡くしています。第二次対戦中は、アメリカの強制収容所で収容されていたそうです。

原作、映画ともに、日本に落とされた原爆と比較して、主人公たちがどういう状況なのか話すシーンがありました。監督の境遇もあり、原作の絵本に共鳴する部分が多くあり、映画化に意欲があったのだろうと思いました。


感想


私は3.11の震災当時、都内に住んでおり、福島第一原発の被災状況はテレビ報道のみの情報で、その他のことはあまり知らずにここまで来ました。


映画を見て、1号機、3号機が爆発する最中も、放射線量が異常に高い状況の中、原子炉建屋のすぐそばで原子炉の復旧に従事していた所員の方々、冷却のための給水作業や瓦礫撤去をしていた自衛隊の方々が大勢いたことを改めて知る機会となりました。

現在でも廃炉に向けて、途方もない作業が続いており、その作業に従事している方々がおられます。


今、当たり前のようにできている普通の暮らしが尊いものであり、また、戦争や災害に伴う原子炉の暴走によって、それが一瞬でなくなることは自明の理ではありますが、そうならないようにするために、一人一人がどう行動するのかが問われているのだと改めて思います。


想定外の災害や戦争等で原発が暴走→国土全体が帰還困難区域になりました、とならないように、次の世代へ残すものが負の遺産ばかりにならないようにしたいと思います。





参考文献

映画「THE DAYS」企画・脚本・プロデュース 増本淳

文庫本「死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発」著者 門田隆将

映画「原発をとめた裁判長 そして原発を止める農家たち」監督・脚本 小原浩靖

映画「風が吹くとき」監督 ジェームズ・テルアキ・ムラカミ

絵本「風が吹くとき」レイモンド・ブリッグス

Wikipedia

Film Makers

RrHacQ

以上!


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